オプジーボを保険で使うには?生存率は?【発見したのは大学院生?】本庶佑ノーベル賞受賞!

2018年のノーベル医学・生理学賞を、京都大特別教授の本庶佑(ほんじょ・たすく)氏が受賞!

本庶佑氏は、免疫を抑制するタンパク質を発見し、がん免疫治療薬「オプジーボ」の開発。

免疫を抑える働きを阻害することでがんを治療する画期的な免疫療法を確立し、がん治療に新たな道を開いた功績が評価されました。

日本人のノーベル賞受賞は2年ぶりで24人目(外国籍を含めると27人目)で、医学・生理学賞は大隅良典氏に続いて、5人目の快挙です。

オプジーボの価格、生存率、保険適用から、その開発秘話までを紹介します。

なんと!世紀の大発見は研究室の大学院生だったそうです。

 

本庶 佑(ほんじょ たすく)

生年月日 1942年(昭和17年)1月27日
年齢 2018年10月現在、76歳
出身地 京都府京都市
高校 山口県立宇部高等学校卒業
大学 京都大学医学部進学課程修了
京都大学医学部専門課程卒業
大学院 京都大学大学院医学研究科修了

お父様も医者だった本庶佑さんは、京都大学医学部医学科を卒業後、京都大学医学部附属病院でインターンとして医師の道を歩み始めました。

主な経歴は

1971年 京都大学医学部副手
カーネギー研究所発生学部門客員研究員
1974年 東京大学医学部助手
1979年 大阪大学医学部教授
1982年 京都大学医学部教授
1988年 京都大学遺伝子実験施設施設長
1989年 弘前大学医学部教授
1995年 京都大学大学院医学研究科教授
京都大学大学院医学研究科研究科長
京都大学医学部学部長
1999年 文部省高等教育局科学官
2002年 京都大学大学院医学研究科研究科長
京都大学医学部学部長
2005年 京都大学大学院医学研究科特任教授
2006年 京都大学大学院医学研究科客員教授
内閣府総合科学技術会議議員
2012年 静岡県公立大学法人理事長
2015年 公益財団法人先端医療振興財団理事長

 

ノーベル賞の賞金

その名誉だけでも十分なのでしょうが、賞金額もすごいです。

賞金は、900万スウェーデンクローナ(約1億1500万円)

授賞式は12月10日にストックホルムで行われます。

 

オプジーボとは

本庶佑氏の研究成果はかねてより高い評価を受けており、選考の予想段階から、ノーベル生理学・医学賞を受賞する可能性が最も高い日本人として注目を集めていました。

本庶佑氏は1992年に、免疫を担う細胞の表面にある「PD-1」というタンパク質を見つけたと発表します。

この発見が、世界中で注目を集める抗がん剤の新薬「オプジーボ」開発の始まりでした。

従来の抗がん剤は、ガン細胞を直接攻撃するものでした。

ところが、オプジーボはガン細胞を直接攻撃するのではなく、人間の免疫機能が働くように働きかける薬です。

ガン細胞が体内にできると、キラーT細胞という免疫機能がはたらいてガン細胞を攻撃しますが、ガンはその免疫細胞と結合することで免疫機能にブレーキをかけるのです。

オプジーボは、PD-1がキラーT細胞と結合して、ガン細胞とキラーT細胞との結合を阻害し、免疫機能にかけるブレーキがかからないような役割を果たします。

このような薬を「免疫チェックポイント阻害薬」と呼んでいます。

 

結果的に、人間が本来持っている免疫機能によってガン細胞を攻撃する仕組みなのです。

ガンの専門医たちも驚くようなこの仕組みに「これはノーベル賞を取るのでは?」と開発当時から噂されていたようです。

臨床でもわずか3ヵ月で完治したなど、驚くほどの好結果が出て、まさに「夢の薬」の誕生と思われました。

 

オプジーボの副作用

ところが、こんな夢の薬にも問題点はあります。

第1の問題点は抗がん剤に共通の問題である「副作用」

抗がん剤の副作用というと、嘔吐や脱毛などが有名ですが、オプジーボの副作用は、劇症の糖尿病や間質性肺炎など重症になることがあります。

間質性肺疾患

空気を取り込む肺胞と肺胞の間の間質に炎症が起こる病気で、次のような方は副作用を起こしやすいと言われています。

・60歳以上の方
・間質性肺疾患やその他の肺の病気にかかったことがある方
・肺の手術をした後の方
・呼吸機能が低下している方
・酸素投与を受けている方
・肺に放射線を照射したことがある方
・抗がん剤の多剤併用療法中の方
・腎障害がある方

 

その他にも

重症筋無力症

心筋炎

筋炎

横紋筋融解症

大腸炎

重度の下痢

1型糖尿病(劇症1型糖尿病を含む)

免疫性血小板減少性紫斑病

肝機能障害

肝炎

硬化性胆管炎

甲状腺機能障害

副腎障害

腎障害

神経障害

脳炎

重度の皮膚障害

静脈血栓塞栓症

 

劇的に改善される患者も多い一方で非常に重い副作用を発する例も多く、中には重度の副作用によって亡くなった方もいらっしゃいます。

オプジーボを使用する際には、その効果だけに目を奪われず、副作用について十分な説明を受けて、納得したうえで使用することが何より大事です。

 

オプジーボの値段・保険適用

夢の薬として注目を集めたオプジーボですが、普及に対して大きなネックとなるのがその高価な薬価です。

 

オプジーボが日本で保険適用になったのは、2014年で、皮膚がんの一種である、メラノーマ(悪性黒色腫)に対してです。

その後、非小細胞肺ガンにも適用されます。

メラノーマの比較して肺癌患者の数は数万人単位ですので、売り上げが急増します。

 

そして、このときの値段が、100mgで73万円!

用法容量は、「2週に1回3mg/kg」

つまり、体重60kgの人には、2週に1回180mgとなります。

100mgで73万円ですので、180mgだと、1回の治療で約131万円

 

2週に1回というと、年間52週なので26回。

131万円×26回=3406万円

患者一人に対してこれだけの費用がかかる薬です。

 

高額治療制度を利用する肺がん患者が5万人いるとすると、3500万円×5万人=1兆7500万円を保険で負担することになります。

これでは保険制度の存続をも危うくさせる可能性と、保険適用外の自由診療で使いたいけれど高価すぎて使えないという声があがります。

 

厚生労働省は、その後、価格の引き下げを検討。

2017年2月に半額に引き下げられて、100mgで37万5000円

これでもまだ十分に高額ですが、製薬会社としても画期的な新薬の開発にかかる研究費用をペイする必要があります。

 

そして、2018年

4月に、約24%引き下げて約28万円に。

 

さらに8月21日

用法容量を「2週に1回240mg」と変更し、残薬が出たり、医療機関の手間を省くことも含めて、新価格を設定しました。

11月から適用される、その価格は

20mg 3万5766円

100mg 17万3768円

開発当初から約4分の1にも満たない金額にまで引き下げることに成功しています。

 

1回240mgだと、1回当たり約41万7000円

年間26回で、約1084万円

これでも、年間で1000万円以上になりますが、ずいぶん下がりましたね。

今後、使用者の増加によって更に価格が引き下げられる可能性は大きいと思われます。

 

オプジーボの保険適用

現在、オプジーボが保険適用となるのは

悪性黒色腫(メラノーマ)

非小細胞肺がん2ndライン

腎細胞がん

頭頸部がん

ホジキンリンパ腫

胃がん(3rdライン以降)

の6種類のガン。

 

胃ガンでは2種類の化学療法を行ったのに効かず、切除手術ができない状態に悪化した患者らに限られるなど、細かい規定はありますが、適用範囲が徐々に広がっています。

今年も、食道がん、小細胞肺がん、肝細胞がんについて保険適用を申請しており、昨年申請した大腸がんなども含めて、2019年度には保険適用対象は10種類を超えるものと思われます。

詳しくは、高額療養費制度の相談をしてください

 

また、介護保険で利用可能な場合もあるようです。

 

オプジーボの生存率

気になるオプジーボの効果ですが、非小細胞肺がん(扁平上皮がん)のⅣ期の生存率を現したグラフがこちらです。

横軸は全生存期間(月)、縦軸は全生存率

(出典:https://media.rakuten-sec.net/articles/-/2894)

明らかにオプジーボの効果が見て取れます。

さらに、オプジーボと他のがん治療薬や療法を組み合わせて生存率を上げるための研究が進んでいるようです。

オプジーボとの併用として注目されているのは、「ヤーボイ」という薬。

ヤーボイもオプジーボと同様に、「免疫機能へのブレーキ」を解除して 、免疫機能の活性化を持続するお薬です

オプジーボとヤーボイを併用することでより高い効果を得ることができると考えられていますが、ヤーボイもまた高額な薬です。

また、副作用の問題も同様にあります。

 

オプジーボ発見は大学院生

実は、オプジーボ開発の元となるPD-1の発見は大学院生によるものだと本庶佑氏は話しています。

PD―1の研究を始めた頃、それは研究室のメインテーマではなかったそうです。

「発見は偶然だった。

当時、細胞が自ら死ぬ『細胞死』という現象を研究していた。

大学院生が細胞死を誘導する物質ではないかと見つけたのが、PD―1だ。

細胞死との関係は見つからなかったが、代わりに予想外の結果が出た。

免疫細胞の働きを抑える『ブレーキ』の役割をしていることがわかった」

 

この「ブレーキを外す」という今までにない発想は、あまりにも画期的であったがために、2002年の論文発表後も、長く批判を受けることになります。

そして、新薬開発には莫大な費用がかかるため、この発見から新薬を開発するためには、共同開発してくれる製薬会社を探す必要がありました。

誰も想像すらしたことがなかったこの新薬構想に乗ってくれる大手製薬会社はなく、海外のベンチャーを探すところまでしていたといいます。

 

そして、この研究に目をつけて共同開発をしてくれる会社が見つかりました。

 

オプジーボの製造会社は?

この画期的な薬を本庶佑氏とともに開発し、実用化に成功したは、関西の中堅製薬会社である、小野薬品工業。

本庶佑氏がオプジーボの元となる、PD-1を発見したのが1992年。

 

その後、共同研究を進めて、治験開始が2006年ですので、実に15年もの歳月を費やして開発したのです。

「細々とやっていた。何が役立つか、最初は誰にもわからない。

研究は幅広く『種』をまいて、長い目で支援していくべきだ。

国は5年などの期限付きで研究予算を出しているが、好ましくない。

最近は流行のテーマでないと研究予算がもらいにくい現状もある。

若い研究者は、自分の知りたいことに突き進む勇気を持ち続けてほしい」

 

小野薬品工業

本社:大阪府大阪市中央区久太郎町一丁目8番2号

設立 1947年(昭和22年)7月4日
代表者 相良暁(代表取締役社長)
資本金 173億58百万円
売上高 1,602億84百万円(連結)
営業利益 305億7百万円(連結)
従業員数 3,116名(連結)

(2018年3月31日現在)

ノーベル賞受賞の報をどんな気持ちで小野薬品工業の開発者の方たちは聞いたのでしょうか。

改めて、おめでとうございます!

 


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