双極性障害の症状・治療法・再発【マライアキャリー告白】

歌手マライア・キャリーが、このほど『People』誌のインタビューを承諾して精神疾患を患っていることを告白しました。

「2001年に心身ともに異常をきたして病院に行ったところ、初めて双極性障害II型であるとの診断を下されたの」

「全てを失うのがすごく怖かった。だから自分自身にこう納得させたの。この病気に対処する方法はひとつしかない。何もしない―それに限るってね。」

マライアが患い、病気のことを語ることが出来るまでに改善された、双極性障害とはどのような病気なのでしょうか。

 

双極性障害とは

気分が高まったり落ち込んだり、躁状態とうつ状態を繰り返す脳の病気です。

かつては「躁うつ病」と呼ばれていました。

 

双極性障害は、躁状態の程度によって次の2種類に分類されます。

 

双極Ⅰ型

激しい躁状態とうつ状態を繰り返します。

激しい躁状態とは具体的には

  • 誰かれかまわず話しかけたる
  • 夜も眠らずに動き回る
  • ギャンブルに夢中になる
  • 高額な衝動買いをする
  • 大げんかをする

など、社会的に経済的に大きな損失を被るような行為でも抑えることが出来なくなることもあります。

 

双極Ⅱ型

軽い躁状態とうつ状態を繰り返します。

軽い躁状態のときには、

いつもよりも妙に活動的になるなど、

周りの人から「何だかあの人らしくないほどに元気すぎる」と思われるような状態です。

 

うつ状態になると

  • 一日中ゆううつで気分が晴れない
  • 夜になっても眠れなくなる
  • 逆に、朝になっても起きられる眠りすぎる
  • 大好きだったことに急に関心がなくなる
  • 食欲が低下する
  • 身体を動かしたくなる

もっとひどくなると、死にたくなる

などの症状がみられます。

 

双極性障害の発症割合

欧米では、約15%の割合でうつ病を発症するといわれています。

15%というと6~7人に1人の割合ですから意外に多いですね。

そして、約1%、つまり、100人に1人が双極Ⅰ型障害。

約1~2%、つまり、100人に1~2人が双極Ⅱ型障害。

 

日本では、うつ病を発症する割合は、欧米よりも少なく約7%の割合です。

これは、精神科にかかることに対する抵抗感が欧米に比べて大きいこと等の理由からであって、潜在的な患者数はもっと多いとも考えられます。

 

双極性障害の患者数も欧米に比べれば少なく、Ⅰ型、Ⅱ型を合わせても、1%に満たないとされています。

 

双極性障害の患者

双極性障害を発症している患者について、次のようなことがわかっています。

  • 男女差はない
  • 20代から30代前後に発症することが多い
  • 下は小中学生から、上はお年寄りまで、幅広い年齢で発症している

双極性障害の遺伝

双極性障害を発症するような、特定の遺伝子はみつかっていませんので、親や近親者が双極性障害を発症しているからといって、遺伝することはないようです。

ただし、ストレスに対する抵抗力などは遺伝的なファクターもあるという説もあり、その意味では、全く無関係であるともいえないとする考え方もあります。

 

双極性障害の原因

双極性障害の原因は、まだはっきりとはわかっていません。

ストレスは発症する要因ではありますが、心理療法やカウンセリングだけで根治することはなく、根本的な原因は、脳やゲノムなどの身体的なものであると考えられています。

したがって、普段ストレスと無縁な明るい性格の人だから双極性障害を発症することはないとはいえないようです。

どんな性格の人でもなりうる病気なのです。

 

双極性障害の治療

心理療法

うつ病のように、カウンセリングだけで治ることはありません。

それでも、自分の病気と向き合い、正しい知識を持って理解したうえで、再発を防ぐためには心理療法は欠かせません。

 

薬物療法

治療の中心は薬物による治療となります。

症状に合わせてどのような薬を処方するのかは医師の判断によりますが、リチウムには、躁状態とうつ状態を改善する効果、躁状態・うつ状態を予防する効果があるとされています。

他にも、バルプロ酸、カルバマゼピンなどがよく処方されるようです。

 

他にも日本では保険適用されていない薬で海外で双極性障害に有効とされている薬もいくつかあります。

ラモトリギン、クエチアピン、オランザピン、アリピプラゾールなどがそれにあたります。

 

薬物療法の副作用

最も代表的なリチウムについて、次のような副作用が報告されています。

  • 下痢
  • 食欲不振
  • 喉が渇く
  • 多尿
  • 手の震え

特に、血中濃度が高いときに服用すると、頭がフラフラして、意識がもうろうとすることもあります。

 

抗うつ剤の服用

うつ病の場合には抗うつ剤を服用することがありますが、双極性障害では、うつ状態が悪化してアクティベーションシンドロームという状態に陥ることがあります。

※ただし、症状によっては、医師の判断で、抗うつ剤を処方することもあります。

 

問題は、双極性障害の患者が、「自分はうつ病だ」と思って精神科を受診し、抗うつ剤を処方されて服用したら、悪化してしまうことです。

 

自分で判断せずに、現在はうつ状態でも、過去に躁状態にあった場合には、医師に正確に伝えるようにしましょう。

 

双極性障害の再発

双極性障害の難しさは、躁状態とうつ状態を繰り返すため、うつ状態のときに治療を受けて、うつ状態が改善されてきた段階で、自分では治ったと思って治療をやめてしまいがちになることです。

それは、一時的に軽い躁状態になっただけかもしれません。

治療をやめてから再びうつ状態に陥り、再発を繰り返すことになりかねません。

 

したがって、長期にわたっての再発防止のための予防治療が大切になってきます。

具体的には

出来れば1ヵ月に1回、少なくとも年間に4回程度、定期的に受診しながら、薬でコントロールをしていきます。

 

症状がすっかり治まっているにもかかわらず、薬を飲み続けることは非常に難しく、「もう治ったから」と薬をやめて再発することが多いといいます。

定期的な診察によって、医師から薬の服用をやめても大丈夫であると判断されるまで続けられるかどうかが再発を防止する最も重要なポイントになります。

 

また、再発の初期症状や、ストレスとの向き合い方などを本人のみならず家族とも共有することが重要となります。

マライアのように、病気のことを他人に話せるようになれば、完治も近いのではないでしょうか。


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