宮川絢子医師・20回もの体外受精から双子を出産。スウェーデンでの子育てを語る。

2017年10月9日

スウェーデンで活躍する泌尿器科でロボット手術のエキスパート。

お子さんの母としてしっかりと子育てをしながらも、医師としても多忙な毎日を送る。なんと、産後わずか3ヵ月で仕事に復帰されたそうです。

社会全体に子育てに協力的なスウェーデンの社会と日本を比較して
「日本だったらこの仕事量で子育てするのは不可能」

そう断言する日本人女性医師を追ってみます。

 

宮川絢子(みやかわ あやこ)

出典:joystyle.net

1964年生まれ

出身 東京都練馬区

 

慶応義塾女子高校から慶応大学に進学

卒業後は泌尿器科専門医として活躍されていました。
2008年 スウェーデン医師免許を取得

2012年 双子を出産

現在は、スウェーデンの名門病院である「カロリンスカ大学病院」泌尿器科勤務

 

趣味:ピアノ、テニス、エアロビ、料理、子育て

留学、結婚、そして離婚

医師として活躍する宮川さんは、博士研究員としてスウェーデンやイギリスなど海外の病院を経験します。

そして、スウェーデンへの留学時代に知り合った男性と結婚。

しかし、その後、その男性とは離婚。

泥沼の離婚裁判を経て、心身ともに疲れ切ってしまっていた宮川さんは、自分の人生を見つめなおすことになります
当時の勤務時間は週80時間を超え、そのうえ「女性だから」という理由で手術で執刀させてもらえないなど、仕事に対する不満と私生活での悩みが重なり、とても苦しい時期だったようです。

 

スウェーデンに移住

女性医師として、日本での激務である上に男性優位な医学界に閉塞感を覚えていたときに、スウェーデンでの生活を気に入り、2007年に移住を決意します。

宮川先生の言葉を借りると

より人間らしい生き方ができる場所で、医師として人間としてやり直したいと思った

離婚を経験して、心も体も疲弊していた彼女は海外で新しい人生を歩み始めました。
そして、2008年 スウェーデンでの医師免許も取得し、スウェーデンで医師として生きていくことが始まりました。

再婚、そして長い長い不妊治療

スウェーデン移住後、以前から知人だったスウェーデン人研究者と結婚します。

彼は現在、カロリンスカ研究所の細胞生理学の教授となるほどの優秀な方のようです。
彼は14歳の時にオートバイ事故で脊髄損傷となり、現在でも車いす生活を送っています。

不自由な体であっても、一生懸命に生きる、心のきれいな優しいご主人に魅力を感じたようです。
幸せな結婚生活の中で、ご主人との子どもが欲しくなるのは自然なことです。

しかし、ご主人は脊髄損傷の車いす生活。

そこで宮川先生が出した結論は「体外受精しかない」
社会保障が充実しているスウェーデンは、38歳までの不妊治療費がなんと無料。

少子化に苦しむ日本も、こういうところにお金をかけてはどうでしょうね?
しかし、38歳を超えたら高額の治療費が必要となります。
日本円にしておよそ40~50万円。

すでに43歳だった宮川さんはこの高額の治療費を負担しながら治療を続けます。
しかし、スウェーデンで2回体外受精を行ったがうまくいかなかったようです。

ご自分の年齢も考え、不妊治療の技術が高い日本での体外受精を決意します。

ちなみに日本での不妊治療費は、スウェーデンよりも少し高いということです。
日本で不妊治療をしながらも、スウェーデンでの仕事も続け、何度も何度も往復しながら、なんと20回近くの採卵を繰り返したそうです。

そして、47歳のときについに妊娠!
宮川先生はそのころのご自分について次のように語っています。

「あきらめる決断ができなかった。この治療を辞めてしまうと、自分の子供を持つことが100%不可能になる現実を、受け止められなかったのだと思います」。

双子を出産

妊娠の喜びもつかの間。

双子を妊娠していることがわかり、宮川先生は不安に襲われます。

それはそうですね。

47歳という高齢出産であることですでに高いリスクがあるのに、その上に双子。
さらに無事出産したとしても、その後の子育てを考えると、不安になって当然でしょう。

「検査で染色体異常が見つかったら、出産をあきらめよう」

とまで思いつめた宮川さんですが、旦那さんの助けもあり、無事に元気な男の子と女の子の双子の赤ちゃんを出産します。

出典:joystyle.net

実はこの出産も、31週目に自宅で破水。帝王切開で生まれた体重1800gの小さな赤ちゃんでした。

ちなみに、2000g未満で生まれた赤ちゃんのことを未熟児と言います。

宮川さんの赤ちゃんも、しばらく保育器に入っていたようですが、健康には何の問題もなく元気だったそうです。何よりですね!

 

子育てと仕事の両立

スウェーデンででは、通常1年半の育児休暇をとる。

しかし、宮川さんは何と、産後3ケ月で仕事に復帰します。
高齢出産ということもあって母乳が出ないことが悩みだったそうですが、そのことが逆に仕事への復帰を早めたようです。

「母乳が出ないとなると私ひとりが家にいる理由もないので、勤務時間50%で職場復帰し、夫と分担しながら子育てしていました。子供が1歳になり保育園に通うようになってからはフルタイムで働いています」

すごいバイタリティーですね。

そんな宮川先生に日本とスウェーデンの子育てに対する環境の違いを聞いてみました。

「現在の仕事量は120%以上かもしれない。スウェーデンは社会全体に子育てに協力的な気風が定着しています。そのおかげで仕事に全力を注ぎながら子育てができる。たぶん、日本にいたら無理だと思いますね」

例えば、日本では手術に関して、医師側の都合で執刀医が直前に変更になることはあり得ない。

しかし、スウェーデンでは、子どもが怪我をしたなどの理由で、執刀医が変更になることもあるようです。

子どもを育てるために、みんなで協力しようという風土があるのですね。

 

現在の宮川先生は『ダビンチ』という手術ロボットのエキスパートとして、年間の症例は前立腺全摘術で100例以上という大活躍ぶり。
医師として、母として、異国で喜びも苦しみも乗り越えて人生を切り開いてきた宮川先生。
これからも、人々の助けとなり、自らもご主人と2人の子どもたちとの幸せな人生を送られることを祈っています。

出典:joystyle.net

宮川先生から日本の若者へのエール

宮川先生が、若い日本人ドクターへ留学などで海外に出ていくことの意義を訴えているインタビューがありました。

日本の臨床および研究の水準は今や、欧米諸国と比べても負けないものになっており、知識や技術の取得のための留学は、昔ほどの意味を持たなくなっている。

しかし、それでも外へ出ていくことの意義がある。

それは、異なる文化やバックグラウンドを持つ人々と交流を持ち、議論や生存競争で負けない力をつけることだ。


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