聴力の低下は認知症リスクが2倍【予防法は?】

高年齢者となったら、あるいはその前の段階から気になるのは、やはり「認知症」

そのリスク要因となるものが様々言われていますが、今注目されているのは「聴力低下が認知症の原因となる」

耳が認知症の原因というのはどういうことでしょうか?

調べてみました。

 

英医学誌 Lancet の認知症(Dementia)に関する国際委員会が7月20日付で同誌に論文”Dementia prevention, intervention, and care” を発表して話題となった。Livingston教授はこの研究を主導した。

概要は以下の通り。

2015年時点で世界に約4700万人と推定されており、2050年に約3倍の1億3100万人になると予測されている。

世界の経済的な負担は2015年時点で8,180億ドル。2050年には2兆ドルを超える見込み。

研究で分かった認知症の最も大きな要因は、中年期(45~65歳)の聴力低下で全体の9%を占めた。中年で耳が遠くなると、9~17年後に認知症になる例が増える傾向がある。

次は中等教育(12~14歳)の未修了が8%にのぼる。教育を受けることで、脳を活性化して認知機能を高めると同時に、食物に気を使ったり運動をしたりして健康に気を配るからだ 。

このほか中年での肥満、高血圧、65歳以上の高齢期での喫煙、うつ、活動量の低下、社会的な孤立、糖尿病が十分証拠があるリスク要因だった。

これら9つの要因を改善すれば、認知症の3分の1を防ぐことができる。遺伝的な要因は7%にすぎなかった 。

米、英、スウェーデン、オランダなどでこのようなリスク要因を改善し、生活習慣を変えると、認知症が減るという報告がすでにある。その大部分は教育によるものだ 。

聴力の低下は認知症リスクを高める

論文によると

認知症のリスク要因のうち、予防不可能な原因によるものは、65%

つまり、予防不可能な原因によるものが全体の3分の2ということになります。

そのうち、生まれつきの遺伝によるものは7%だそうです。

そして予防可能なものは全体の35%だということです。

その内訳を、年代別に若年期(12~14歳)、中年期(45~65歳)、高齢期(65歳以上)に分けると

若年期 8%
中年期 12%
高齢期 15%

やはり、高齢期の過ごし方が重要なようですが、さらに細かく見ていくと

中年期

聴力低下 9%
高血圧 2%
肥満 1%

高齢期

喫煙 5%
鬱 4%
活動量の低下 2%
糖尿病 1%

 

よく言われている糖尿病や肥満などを原因とする割合は思った以上に低いことがわかります。

そして、原因別に分けた際に最も高い原因率を示したものが

聴力低下

中年期に耳が悪くなると、9~17年後に認知症が増えるということです。

相対的な認知症リスクも、聴力が低下した人は、そうではない人の1.9倍になるといわれています。

聴力低下にはいろいろな症状があります。

60代でも2~3割、高齢者全体では3人に1人が、「耳の機能の低下」があるといわれています。

出典:e-kosugi.com

 

感音難聴

音を感じ取る内耳の有毛細胞や、聴覚の神経に障害が生じることが原因で起こる聴力低下です。

複数の人が同時に喋る声が聞き取りにくくなることってありませんか。

外出先の混み合ったレストランで空耳が増えたり、多くの出演者がいるバラエティ番組で何を話しているかわからなくなったら、感音難聴の疑いが濃厚です。

 

加齢性難聴

感音難聴の一種で、加齢により言葉の聞き分けが難しくなることです。

特に高い音や子音が聞き取りにくくなります。

小さな子供のカン高い声が聞き分けられない。

「加藤」と「佐藤」、「1時」と「7時」などを聞き間違える。

などがあります。

 

突発性難聴

難聴は高齢者だけのものではなく、若者でも難聴の症状が出る場合があります。

最も多いのは、突発性難聴。

原因としては、ヘッドホンの多用によるものと言われます。

 

なぜ聴力の低下が認知症につながるのか

耳と認知症という一見無関係にも思えることがなぜ深いかかわりがあるのでしょうか?

 

聴力が低下すると、脳内で聴覚を処理する部分でもある側頭葉への刺激が少なくなります。

記憶を司る側頭葉への刺激の減少とともに、脳の活動量も減少して記憶力も低下してしまいます。

そして、やがて認知症へとつながると考えられています。

 

また、聴力の低下によって人との会話が楽しくなくなってしまうことも大きな原因となるといわれます。

会話が楽しくなくなり、人と会うことが億劫になって、結果として引きこもってうつ状態になる人も多い。

会話がうまく聞き取れず、適当なことを言ってごまかすようになってきたら危険信号です。

 

聴力低下による認知症を予防するには

「脳への刺激を復活させる」ことが最も重要です。

難聴の多くは、投薬や手術で聴力が回復します。

治療が困難な場合でも、補聴器を使って聴力を補うことで、脳への刺激が得られますので、認知症の予防効果があります。

 

聴力の低下を感じても、補聴器を使用することに抵抗を感じる人は多いようです。

しかし、単に聴力だけの問題ではなく、認知症予防の1つと捉えて、補聴器の使用を検討してはいかがでしょうか。

 


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