さい帯血のガン、美容に効果があるのか。逮捕されたクリニック

全国のクリニックで他人の臍帯血(さいたいけつ)を使った再生医療が国に無届けで行われていた問題で、愛媛、高知、京都、茨城の4府県警の合同捜査本部は、臍帯血をクリニックに販売していた業者ら数人を、無届けの治療に関わったとして再生医療安全性確保法違反容疑で27日にも逮捕する方針を固めた。
(出典:朝日新聞)

さい帯血はへその緒や胎盤に含まれる血液で、血液細胞の元になる幹細胞が含まれている。

今回問題となったのは、民間臍帯血バンク「つくばブレーンズ」(茨城県つくば市)が保管していた臍帯血が転売され、がん治療などの目的で臍帯血の移植手術を無届けで行っていたということ。

逮捕された医療関係者とクリニック

表参道首藤クリニック 医師の首藤紳介容疑者(40)

医療法人社団「愛幸会」 副理事長の坪秀祐容疑者(60)

臍帯血販売会社「ビー・ビー」 代表・篠崎庸雄容疑者(52)・篠崎容疑者の妻の信子容疑者(50)

医療関連会社「レクラン」(閉鎖)元代表の井上美奈子容疑者(59)

会社役員 小谷治貴容疑者(36)

逮捕理由としては「無届け」であることが問題とされましたが、それではそもそも臍帯血治療の効果のほどはどうなのか気になるところです。

 

さい帯血治療

お母さんと赤ちゃんをつなぐ、へその緒。そこから採取されるのが「さい帯血」です。血液などをつくるもとになる幹細胞が含まれていて、主に白血病の治療に使われています。

出典:ww.kk.bbc.jrc.or.jp

 

今回問題となった民間のさい帯血バンクは、白血病治療のためではなく、将来子どもが病気になった場合などに備えて、その子のために保管するものです。

つまり、そのさい帯血が第三者に提供されることはあり得ないはずだったのです。

再生医療への期待の高まりから、話題になったのですが現状としては

さい帯血を利用した再生医療はまだ確立されていません。

しかし、「さい帯血は今、さまざまな応用が研究されているので、保存しておいて決して損はしないと思う」という医療現場の声があるのも事実です。

 

さい帯血を使った再生医療の研究は世界中で進められ、大きな期待がもたれていますが、現段階ではできるかもしれないしできないかもしれないという技術なのです。

造血幹細胞移植以外の再生医療が実現しているかのような印象を与える宣伝もありますが、誤解のないようにしたいものです。

 

さい帯血ブローカー

しかし、「がん治療に効果がある」「美容への効果が高い」と評判になり、さい帯血バンクは「金の生る木」となり、さい帯血ブローカーが生まれました。

ブローカーの証言によると

「さい帯血を平均80万円で購入し、経費や利益を上乗せして倍の160万で医療機関に販売していた。

医療機関では250万円から270万円くらいで患者に投与していた」

 

さい帯血のガン治療への効果

さい帯血移植は、造血幹細胞移植の一種で、例えば、白血病などの血液系の悪性腫瘍(がん)に対して臍帯血移植が行われている。

これは確立された医療技術です。

さい帯血には、さまざまな血球に分化する能力を持った造血幹細胞が含まれています。

抗がん剤や放射線治療の副作用として、白血球減少や血小板減少は有名です。

がん細胞に対して十分な治療を行ったところでさい帯血を移植すると、造血幹細胞が増殖、分化して白血球や血小板を造りはじめます。

つまり、治療によってダメージを受けた造血機能が回復するというメカニズムです。

さい帯血移植が効果を発揮するのはその前に抗がん剤治療や放射線療法を行うからであって、ただ臍帯血だけ入れても意味がないのです。

効果がないだけならまだしも、場合によっては移植片対宿主病(GVHD)という副作用の可能性もあります。

がん治療は、リスクを承知でわずかな可能性にでもかけてみたいという患者の意識もあり、そんな患者心理につけこむかのような治療がまかり通っていると指摘する専門医もいます。

 

さい帯血の美容への効果

厚生労働省によると、老化防止など美容医療を目的とした、さい帯血の利用計画が申請されたことはないそうです。

厚労省の担当者によると

「そうした目的で臍帯血が利用されていれば違法行為だ」

また、医学ジャーナリストの松井宏夫氏によると

「患者に美容効果があるように錯覚させるクリニックがあり、利益を求める業者もいるのが実態だ。」

 

しかし、最近の美容外科では、さい帯血の細胞そのものではなく、さい帯血を培養した、臍帯血幹細胞培養上清液によって皮膚を若返らせる治療法が行われています。

そして、この場合は届出が不要だそうです。

この方法が、医学的に美容効果があるという報告は現在のところはありません。

効果があると信じる方が自分のお金でやるのは止めませんが、せめてそのさい帯血の入手先がどこなのか気にされてもいいかもしれません。


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